AIの開発が進み、今後多くの仕事がなくなっていくと言われている中、
いま幼児期の子供たちが大人になる頃には、どんな世の中になっているのだろう?
どんな仕事に就けるのだろう?
と心配されている親御さんも多いと思います。
子供が将来仕事をしてきちんと生活していけるように、できるだけのことをしてあげたい、そう思いますよね。
そのために、早期教育を受けさせているご家庭もあるのではないでしょうか。
しかし実は、将来才能をより大きく開花させるためには、早期教育よりも大切なことがあるということがわかってきています。
それは、
「脳にドーパミンが出やすいクセ(回路)を作っておく」
ということです。
そしてそれには、6歳までの過ごし方が大切だと考えられています。
一体どういうことなのでしょうか?
モンテッソーリ教育とチャイルドコーチングの指導者で1児の母でもある筆者がわかりやすく解説していきます。
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ドーパミンとは?
ドーパミンは快感を生み出し、好きなことをどんどん上達させる
まず、ドーパミンとは何なのでしょうか?
ドーパミンとは、脳内三大神経伝達物質の一つで、脳に快感を与え、物事に対するモチベーションを上げる物質。
別名「快楽ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれています。
何かに成功する、やり遂げる、勝つ、褒められる、感動する…
そんなときには「やった!嬉しい!」「気持ちいい!」という感情とともに、たくさんのドーパミンが分泌されます。
そうすると、脳はその快感を記憶して、「またあの快感が欲しい!」とそのドーパミンが出る行動を積極的に取らせるように。
そして、他のことでは見られないような意欲や集中力を発揮させるのです。
昔から言われる「好きこそものの上手なれ」。
それは、
「好きでワクワクすること(ドーパミンが出ること)には脳が集中力と向上心を発揮させ、知らず知らずのうちに上達していく」
ということなのです。
参考文献:『脳を最適化すれば能力は2倍になる』樺沢紫苑 著/文響社
ドーパミンの出方には個人差がある
しかし、このドーパミンは誰もがいつでも自由に出せるわけではありません。
ドーパミンの出方には個人差があるということがわかっています。
- ドーパミンを頻繁に出してガっと集中できるタイプの人
- ドーパミンが出にくく集中しにくいタイプの人
に分けられ、それは『脳のクセ』とも言えます。
企業創設者・学者・スポーツの世界などで成功を収めている人は、前者のドーパミンが出やすいタイプの人が多いと言われています。
このような人達は、ここぞというときに何時間も集中できる力、自分の世界に入れる力、人並外れた向上心、探求心などを持っています。
それはまさにドーパミンがなせる業で、世間一般でいう『天才』『成功者』につながると言えるでしょう。
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幼児教育とは?早期教育とどう違う?
ドーパミンが出やすいかどうかは幼少期に決まる
では、どうすればドーパミンが出やすい人になれるのでしょうか?
ドーパミンが出やすい脳になるかどうかは、脳が形成され、神経回路ができあがるときに決まります。
ヒトの脳は、お腹の中にいるうちから作られ始め、生まれた時には300〜400g。
それが6歳には約1300gにまで成長します。
大人は約1400gですので、6歳までに実に90%ができあがるのです。
そして脳が大きくなる時に、脳の神経回路も一緒にできあがっていきます。
その脳の神経回路ができあがるまでの間に、ドーパミンが出やすい『脳のクセ(回路)』を作っておく必要があるということ。
それでは、どうすれば幼児期のうちにドーパミンが出やすい脳にしておくことができるのでしょうか?
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モンテッソーリ教育とは?大切なのは親の接し方
6歳までの育脳 〜ワクワク体験をたくさんしよう
6歳までにドーパミンをたくさん出す経験をしよう!
ドーパミンが出やすい脳にする方法、それはズバリ、
6歳までにドーパミンを出す経験をたくさんしておくこと。
6歳で脳がほぼできあがるまでにドーパミンを頻繁に出す経験をしておくと、それが『脳のクセ』になり、脳が快感を求めてすぐにドーパミンを出しやすい仕組みを作ることができるのです。
子供が「楽しい」「幸せ」と感じる機会を増やそう
では小さい子供が「ドーパミンをたくさん出す経験」をするにはどうしたらよいのでしょうか?
ドーパミンは、「快楽ホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれるように、「楽しい!」と感じたり「幸せだなぁ!」と思うことで分泌されます。
幼児期の子供にとって「楽しい」「幸せ」と感じるのは、たとえば次のようなとき。
幼児が楽しいと感じること
- 好きなことを、自分がしたいやり方でする
- 思いきり遊ぶ
- 自分の視界の中に楽しいものがたくさんある
- 初めての場所・おもちゃで遊ぶ
- 初めての物を食べる
(「初めて」というシチュエーションは楽しいと感じない子もいます)
幼児が幸せだと感じること
- 親が笑顔でいる
- 親と一緒に遊んだり勉強したりする
- 親が話を聞いてくれる・意見を認めてくれる
- 親に褒められる
楽しいと感じるのは外的な刺激が多く、好きなことや新しいことにワクワクドキドキする気持ち。
一方、幸せを感じるのは、ほぼ親(保護者)との関わりにおいてのことです。
このような「楽しい」「幸せ」という気持ちを、6歳までにたくさん感じることで、生涯にわたってドーパミンがたくさん出やすく集中力を発揮しやすい『脳のクセ』ができあがるのです。
ただ、ドーパミンは出過ぎるといわゆる『依存症』になるという話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
でも日本人は欧米人に比べて遺伝子的に極端にドーパミンの分泌量が少なく、幸福感を感じにくい民族であるということがわかっています。
ですので、幼少期にこのようなワクワク体験をたくさんしたからといって、依存症になるほどドーパミンが分泌される心配はありません。
大人は子供の好奇心を邪魔しない。
そして常に笑顔で!
大人と子供の頭の中は全く違う
子供にとって「楽しい」「幸せ」と感じることは、親にとっては正直少し面倒と思ってしまうこともありますよね。
たとえば、次にあげるような子供の行動を、どこまで口を出さずに見守れるでしょうか?
家の中でのドーパミンが出る行動
ティッシュを全部引き出す/コップのお水に何かを混ぜる/
水道をずっと出しっ放しにして水遊びをする/壁や家具にシールを貼る/
落書きをする/あちこち上る/テーブルや椅子をたたく/
袋や缶を自分で開けたがる/壁のカレンダーや絵を引っ張る など
外でのドーパミンが出る行動
石をひたすら拾う/雨が降る中で水たまりで遊ぶ/
自転車のペダルを手で回す/木や柵に登る/
町の看板やガードレールを触って歩く/狭いところをくぐる/
階段に手をついて上る/帰る方向と違う方向に行きたがる など
これらのことは、
「汚い」「もったいない」「早く帰ってご飯の支度をしたい」
などの理由で、止めたり叱ったりしてしまうことがどうしても多いのではないでしょうか。
もちろん危ないことは、きちんと理由を説明したうえで止めなくてはいけません。
でも、大人から見ると「つまらない」「汚い」ことでも、子供にとってはワクワクドキドキすることがたくさん!
子供は、いろいろなものを手で触って、近くで観察して、時には難しいことにチャレンジすることで、脳にものすごく大きな刺激を受けているのです。
それは子供の『好奇心』? それとも『ワガママ』?
子供が「楽しい」「幸せ」と感じる行動は、どれも温かい目で見れば「好奇心」。
でも悪く言えば「ワガママ」「いたずら」「甘え」ともとらえられますよね。
さらにしつけやお行儀との兼ね合いもあり、何でもかんでもやりたい放題させていては、社会のルールやマナーが守れない子になったり、協調性がない子になるのでは、と心配になるかもしれません。
でも、親が温かく見守る中で上に書いたような好奇心いっぱいの行動をする子は、意外と幼稚園や保育園ではマナーが良く、協調性のある子が多いのです。
それは、親と一緒にいるときに好奇心が満たされているので、他で好き放題したり自己主張する必要がないからなのでしょう。
逆に、幼稚園や小学校でいわゆる問題行動を起こしてしまうお子さんは、家庭で「楽しい」「幸せ」と感じることが少なく、気持ちが満たされていないことが多いようです。
ですので、親といるときに思うままに行動させているから、ルールやマナーが守れない子になってしまう、ということはありません。
ただし一つ注意が必要なのが、
「親が放ったらかしで好き放題させている」のと、
「親が笑顔で見守る中で好奇心を満たす」のとは、全然違うということ。
子供が上記のようなワクワクすることをしているとき、じっと観察してみてください。
必ず何度も親を振り返って、自分を見てくれているかどうか、共感してくれているかどうかを確認することに気がつきますよ。
親がスマホを見たりして子供を見ていないとき、子供はたとえ楽しいことをしていても「幸せ」を感じて満たされることはなく、ドーパミンの分泌も半減。
そうなると、ただ「ワガママを放っている」という状態になってしまい、子供にも愛情が伝わらないので気をつけましょう。
子供に「ダメ!」と注意する基準を少しゆるめてみよう
しかし、子供の好奇心を満たしてあげたいと思っていても、なかなか時間がない、笑顔でじっくり付き合う余裕がない、ということも多いですよね。
もちろんすべてに付き合って子供の好奇心を100%満たす、というのは現代の忙しいご家庭では難しいかもしれません。
そんなときは、いま子供に「やってはいけないよ」と注意していることを100としたら、まずはそれを70くらいまで減らす努力をしてみるのがおすすめ。
汚いからやめてほしい、後で片付けが大変だからやめさせたい、時間がないから切り上げさせたい、と思って「やめなさい」と言いたくなる気持ちを、少しだけグッと我慢してみましょう。
ちなみに、フィギュアスケーターの浅田真央さんは、引退後にあるテレビ番組で、「小さい頃は遊ぶのが大好きで、いろんないたずらみたいなこともしたけれど、母に本気で怒られたことは一度もない」と仰っていました。
また、棋士の藤井聡太さんも、幼少期に木登りや迷路作りが大好きで、1つのことに集中すると他のことがおろそかになって、他の子が普通にできることができなくなってしまうこともあったそうですが、やはり親御さんは叱らなかったそうです。
もちろん生まれ持った才能もあると思いますが、とにかく親御さんの「叱る基準」が低かったのは確かなようです。
全く叱らないことがいいというわけではありませんが、このお二人が類い稀な才能を開花できたのは、ご両親が子供の特性をしっかり見て、寛容で温かい育て方をしたおかげかもしれませんね。
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まとめ 〜6歳までに好きなことをたくさんさせよう!
小さい子供は、とにかく好奇心旺盛で、いろんなことを思いついてはやってみます。
それを
「止めない」「叱らない」「笑顔で見守る」
というのは決して簡単なことではなく、親の忍耐力と覚悟が必要なことでしょう。
でも、これは永遠に続くわけではありません。
毎日繰り返していることでも、充分にやりきって満足すると、いずれ必ず1つずつ卒業していくのです。
ドーパミンが出る対象の行動も、年齢によって変わっていき、それがいつか勉強に向かったり、運動に向かったり、習い事に向かったりして、親の役割も次第に少なくなっていきます。
子供が、自主的に物事に意欲を出して取り組み、集中してくれるようになってくれたら、小学校以降、親は本当にラクになります。
(もちろん親がラクをするために子供の脳を育てるわけではありませんが)
幼児期の子供が好奇心いっぱいに好きなことをしていたら、たとえそれが親の意に反することでも、
「いま子供はワクワクして、脳が刺激を受けているんだな」
「6歳までに脳にドーパミンを出すクセをつけるいいチャンスだ」
と思って、口を出さずにグッと我慢して、笑顔で見守ってみましょう。
将来、思わぬ才能を発揮してくれるかもしれませんよ。
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