小学生向けの家庭用通信教育には、通う学校の教科書に合わせた『教科書準拠』と、どの教科書でも関係なく一律の内容で学ぶ『教科書非準拠(標準版)』があります。
よく「教科書準拠の通信教育のほうがいい」と言われるけれど、本当にそうなのでしょうか?
ここでは、チャイルドコーチングとモンテッソーリ教育の指導者で1児の母でもある筆者が、『教科書準拠』と『教科書非準拠』それぞれのメリットとデメリットをわかりやすくお伝えしていきます。
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教科書準拠ってなに?
まず、『教科書準拠』の通信教育についてみていきましょう。
教科書準拠とは、通う学校の教科書の内容に合わせて作られた教材のこと。
各通信教育の入会申し込み時に、通う学校を記入し、その学校で使っている教科書と同じ内容と進み方で家庭学習することができます。
特に国語は、『光村図書・教育出版・東京書籍・学校図書』など、教科書によって使われている物語や漢字を習う順番がまちまち。
教科書準拠の通信教育なら、学校と同じ物語を扱い、出てくる漢字も同じなので、戸惑うことなく学習できますよ。
教科書準拠の通信教育のメリット
教科書準拠の通信教育のメリットは、次の通り。
教科書準拠のメリット
- 学校の予習ができて、授業で自信を持って手をあげられる
- 学校のテストで高得点が狙える
- 授業の復習に使うことで、理解が定着する
- 学校を休んでも授業についていける
教科書準拠の教材の一番のメリットは、何と言っても学校の授業の内容を完璧に理解できること。
予習に使えば授業で躊躇なく手をあげられるので、
「自分はできる!わかる!」
という大きな自信になります。
また復習に使えば、理解をしっかり定着させてから次の単元に進めるので、苦手教科ができにくいという効果があります。
勉強が苦手になる一番の原因は、わからないところが残ったまま授業が先に進んでしまうこと。
ある日の授業で「ん?」と思い、その次の日の授業でさらに「ん?ん?」となり、それが数日続けばあっという間に苦手の出来上がりです。
家に帰って教科書や自分で書いたノートを何度見返しても、わからないものはわからない。
それは、
「学校の先生の説明ではわからなかった」
ということなのです。
そんな時、教科書準拠の通信教育で復習すれば、学校の授業と同じ内容を違う角度から、違う言い回しでかみ砕いて教えてくれるので、
「ああ、なるほど、そういうことか!」
とストンと理解できることが多いですよ。
わからなかったことをその日のうちに解決しておくことが、苦手教科を作らない秘訣です。
また、病気やケガで学校を休んだ時に、教科書準拠の通信教育をやっておけば授業に遅れないのも、大きな安心になりますね。
「それなら、教科書準拠が絶対いいよね」
と思ってしまうけれど、必ずしもそうとは言えないんです。
次は、教科書準拠のデメリットを見ていきましょう。
教科書準拠の通信教育のデメリット
教科書準拠の通信教育には、こんなデメリットもあります。
教科書準拠のデメリット
- 『学校の授業/宿題/通信教育』が全部同じ内容なので飽きる
- 予習すると授業でワクワクせず、先生の話を聞かなくなる
- 同じ物語を使うので、読む文章量が少ない
- 応用力がつかない
- お子さんによっては簡単すぎる
一番のデメリットは、予習をして教科書の内容を知ってしまうと授業の新鮮味がなくなり、
「もう知ってる、わかってる」
と先生の話を聞かなくなる恐れがあること。
わが家の息子の話を少しすると…
小1から教科書準拠の進研ゼミ『チャレンジタッチ』をやっているのだけれど、月の前半はメインレッスン(教科書に沿った学習)を一切やろうとしないんです。
「何でいつも後半に慌ててやるの?」
と聞いたら、
「だって先に読んじゃうと授業がつまらなくなるから」
と。
物語を読んでしまうのもつまらないし、登場人物の気持ちを考えたりするのも、
「授業で皆と一緒にああかな、こうかなと考えるから楽しいんだよ」
ということなんだそう。
たしかに、特に低学年のうちは授業のスピードもゆっくりなので、全部知っている内容だと退屈してしまうのかもしれませんね。
また学校によっては宿題も多いので、授業で習い、宿題でもやり、さらに通信教育も同じ内容…
というのはさすがに飽きてしまって、かえって家庭学習の習慣付けの妨げになることも。
さらに教科書準拠だと、当然だけれど学校での学習内容以上の力はつきません。
もし学校の教科書以上の思考力・応用力・表現力などを身につけさせたい場合には、それに見合ったテキストで学ぶ必要があります。
教科書非準拠(標準版)ってどうなの?
「うちの子には教科書準拠はいまいち合わないな…」
という時には、教科書に沿っていない『教科書非準拠』(標準版とも言います)の通信教育がおすすめ。
教科書非準拠の通信教育は、各学校の教科書ごとには分かれておらず、文科省の学習指導要領で定められているその学年で学ぶ内容を、独自のカリキュラムで進めていく教材です。
教科書非準拠のメリット
教科書非準拠の通信教育には、次のようなメリットがあります。
教科書非準拠のメリット
- 学校と違う題材で学ぶので、新鮮な気持ちで取り組める
- 読む文章量が増える
- 応用力・表現力・語彙力が付く
教科書非準拠の一番のメリットは、授業とは違う題材で学べること。
同じ単元を学んでいてもアプローチ方法が違うので、必然的に応用力が身についていきます。
特に国語は、教科書とは全く違う物語を使って学ぶので、教科書準拠の通信教育と比較すると読む文章の量が何倍にも!
その分多彩な表現方法に触れられるし、語彙力も伸びます。
子供自身も、新鮮な気持ちでワクワクしながら学習することができますよ。
また中学受験をめざす場合は、応用力や発展力などが必須になるので、小学3~4年生くらいには教科書非準拠の教材に移行しておいた方がいいでしょう。
教科書非準拠のデメリット
一方、教科書非準拠にはこんなデメリットも。
教科書非準拠のデメリット
- 学校の直接の予習復習にはならない
- 習う単元や漢字の順番が違う
- 応用・発展問題が多く、お子さんによっては難しすぎる
教科書非準拠の通信教育は、学校の教科書とは進み方が違うので、授業の直接の予習復習にはなりません。
たとえば、小学2年生の算数で習うのは『繰り上がり繰り下がりのひっ算・かけ算の九九・長さ・カサ・分数』といった単元。
これらの単元を1年間で学ぶというのは同じだけれど、出てくる順番や進む速さなどが各教科書とは異なります。
国語も、1年間トータルで学ぶ漢字は同じだけれど、順番が違うので、
「この漢字、まだ学校で習っていないよ」
ということが頻繁に起こります。
また、教科書非準拠の通信教育は、学校の勉強とはアプローチが違うので、頭を切り替えて取り組む必要があり、子供にとっては少し難しく感じる思います。
実際に教科書準拠の通信教育と比較すると、応用・発展・思考力問題などが多く出題され、難易度を少し高めに設定している教材がほとんど。
学校の授業を理解できている子は大丈夫だけれど、理解できていない子、または理解できていない教科がある場合には、教科書準拠の教材の方が無難かも。
教科書非準拠の通信教育は、
「学校のテストでいつも80~90点取れているけれど、あと少し、最後の応用問題が解ければ100点なのに…!」
という子が満点を目指すような、少しレベルの高い教材です。
まとめると、教科書『準拠』と『非準拠』、どんな場合にどちらがいい?
このように、教科書準拠と非準拠にはそれぞれメリット・デメリットがあり、学習の進み具合やお子さんの性格によって合うものが違います。
それぞれ、「こんな時はこっちが向いてる!」というのをまとめると、次の通り。
教科書準拠が向いている
- 勉強があまり好きじゃない
- 学校の勉強がちょっと難しい
- 新しい単元を学ぶときには「大丈夫かな?」と不安になる
- とにかく学校のテストの点数を良くしたい
- 得意教科を伸ばすより、苦手教科を克服したい
教科書非準拠(標準版)が向いている
- 勉強が好き
- 学校の勉強は、授業と宿題でほぼ理解できている
- 新しいことをワクワク楽しめる
- 得意な教科をグングン伸ばしたい
- 中学受験を考えている
教科書非準拠の小学生通信教育
Z会 小学生向け講座(冊子 or タブレット)
名探偵コナンゼミ(冊子 or PDF)
スタディサプリ(小4~/授業動画とDLテキスト)
難易度的には、
教科書準拠< 教科書非準拠(標準版)
と思ってほぼ間違いありません。
堅実に学校の勉強内容をしっかり身につけていきたいなら教科書『準拠』
一歩進んだ学力を身につけたいなら教科書『非準拠』
がおすすめですよ。
もし迷ったら、まずは『教科書準拠』の教材をやってみて、簡単で退屈に感じたら『教科書非準拠』の教材にステップアップするのがおすすめ。
最初のうちは、学力相当もしくは少しだけ上の教材をやって、
「勉強って楽しい!できるようになると嬉しい!」
という前向きな気持ちを持つことが一番優先。
もしいきなり自分の学力とかけ離れた教材をやって、勉強に対して苦手意識を持ってしまったら、後からそのマイナスの気持ちをひっくり返すのはとても難しいです。
「ここまで力を付けたい」という理想がある場合にも、まずは今の力に合った教材から始めて、徐々にステップアップしていくのがおすすめです。
ただし、小学校低学年、特に1年生の通信教育は、どの教材もスロースタート。
教材ごとのレベルの差はあまりなく、教科書非準拠の教材でもまだそれほど難しくありません。
もし将来中学受験を考えているなら、やさしい低学年のうちに教科書『非準拠』の通信教育を始めて、カリキュラムにのせてしまうのも手ですよ。
お子さんに抵抗がないかどうか、まずは無料体験教材で試してみてくださいね。
小学校3年生以降に通信教育を始めるなら、教材ごとのレベルの差がかなりついてきているので、無料体験は必須。
いろいろ取り寄せてみて、お子さんにピッタリ合うものを探してくださいね。
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