近年注目を集めている『モンテッソーリ教育』。
将棋の藤井聡太さんが幼少期に受けていたことで、気になっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
でも、
「いろいろな調べると難しそうだし、教具などが必要でなかなか腰が上がらないな…」
という方のために、ここではモンテッソーリ教育の歴史や細かい教育法などは抜きにして、
「モンテッソーリ教育って結局どういうこと?何をすればいいの?」
というのをわかりやすくお伝えしていきます。
高価な教具を買ったり、モンテッソーリの幼稚園に通わなくても、
『ママパパの子供への接し方・声のかけ方』
ひとつで、今日からすぐにモンテッソーリの要素を日々の子育てに取り入れることができますよ。
逆に、もし親御さんがモンテッソーリ教育の『本質』を理解していなければ、たとえ園に通っても高い教具を使っても効果は半減。
それくらい、モンテッソーリにおいて親御さんの接し方は大切です。
モンテッソーリ教育とチャイルドコーチングの指導者で1児の母でもある筆者が、モンテッソーリ教育をわかりやすくお伝えしていきます。
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モンテッソーリ教育って簡単に言うとなに? どんな子になるの?
モンテッソーリ教育ってなぁに?
最初に結論をまとめると、
モンテッソーリ教育とは結局こういうこと
- 子供は『自分で成長する力』を持って生まれる
- 親は『子供が自分で育つ』のを手伝うだけ
- 幼少期にしか伸ばせない『集中力や好奇心』をしっかり育む
では具体的に、家でどのような子育てをすればいいのかというと、
日常どう子育てすればいい?
- 子供がやりたいことを尊重する
- 子供が集中していることを止めない・邪魔しない
(それがどんなことでも、危ないこと以外は) - 子供を観察して見守り、子供の思考回路に付き合う
- 子供がトコトンやり切って自分から卒業するまで、根気よく待つ
- 大声や素早い動作で子供を支配(コントロール)しない
ということです。
これでは、
「わがままで手がつけられない子になってしまうのでは?」
と思うかもしれないけれど、心配いりません。
いつもやりたい事をやり切って心が満たされている子は、逆にとても落ち着いた子になります。
これが、世界中で成果を生みだしているモンテッソーリ教育なのです。
モンテッソーリを学ぶとどうなる?メリットとデメリット
モンテッソーリ教育で育った子供たちは、こんな力が身につきますよ。
モンテッソーリ教育で身につく力
集中力
…邪魔されずに1人で遊ぶ(作業する)ことを繰り返して身につく
思考力
…落ち着いてじっくり考えられる環境の中で身につく
自立心
…大人の指図や助けを受けずに、自分で失敗と成功を繰り返すことで身につく
好奇心
…常に自分で何をしたいか考えて選ぶことで身につく
自己肯定感
…自分で選んで始めたことを満足いくまでやり切り、それを否定されないことで身につく
落ち着き
…いつも心が満足しているので不安定にならない
もちろん、モンテッソーリ教育にも『デメリット』はありますよ。
モンテッソーリ教育では身につかないこと
知識の早期教育
…知識を詰め込むのではなく、将来知識を入れる器を大きくする
集団での協調性
…良くも悪くも周りを気にしない子になる
運動神経や体力
…基本的に室内での育児法
まとめると、モンテッソーリ教育を実践すると、
ということになります。
(日本モンテッソーリ教育綜合研究所では「自立していて有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人になる」と定義されています。)
これからの時代を生き抜く子供達にぴったりの『モンテッソーリ』の考え方
従来は、
『成績が全教科平均的に良く、運動ができ、明るく社交的で誰からも好かれる優等生タイプ』
が実社会で成功する世の中でしたよね。
でもAIの導入が今後ますます進み、今の子供たちが大人になる頃は、いわゆる『成功者のパターン』は大きく変わってきます。
- 専門性が高い人
- 指示されなくても自分で考えて動ける人
- 何も無いところから新しいものを生み出せる人
が生き抜いていける世の中に。
そんな中で、100年以上前に生まれた『モンテッソーリ教育』が、まさにこれからの子育てにピッタリな考え方として注目されているのです。
モンテッソーリを学んだ有名人
世界で偉業を成し遂げている方で、幼少期にモンテッソーリ教育を受けた方はとても多いですよ。
と言っても、決して「すごい人がやってるからモンテッソーリはおすすめ!」というのではなく、その活躍している分野に注目してみてください。
モンテッソーリを学んだ著名人
ビル・ゲイツ
(マイクロソフト創業者)
ラリー・ペイジ/セルゲイ・ブリン
(Google 創業者)
マーク・ザッカーバーグ
(Facebook 創業者)
ジェフ・ベゾス
(Amazon 創業者)
ジミー・ウェールズ
(Wikipedia 創始者)
ピーター・ドラッカー
(現代経営学やマネジメントの発明者)
バラク・オバマ
(元米国大統領)
ビル&ヒラリー・クリントン
(元米国大統領夫妻)
ビヨンセ
(歌手)
アンネ・フランク
(『アンネの日記』著者)
藤井聡太
(史上最年少プロ棋士)
仲邑薫
(史上最年少プロ囲碁棋士)
※ 敬称略
これらの方達に共通していることは、
『人と違う視点で考える力、生み出す力がすごい』
ということ。
それは、発想力や思考力と同時に、『集中力』のなせるワザでもありますよね。
集中力は、モンテッソーリ教育の中でももっとも大切にしていることの1つで、6歳までの幼少期の環境や大人の接し方で作られると考えられています。
では、モンテッソーリ教育の考え方をもう少し詳しくみていきましょう。
「子供は厳しく叱ってしつけるのが当たり前」
という親御さん、子供に対する視点が変わりますよ。
モンテッソーリ教育の子育ては子供が主役!
モンテッソーリの考え方①
大人と子供は全く違う世界を生きている
当たり前だけれど、大人もかつては全員が子供でした。
でも子供時代の考え方や気持ちは、あまり覚えていないでしょう。
モンテッソーリ教育では、
「大人と子供は、南極と北極くらい離れた世界にいる。」
ということをまず認識する必要があると考えます。
オタマジャクシに「早く陸に上がって陸のルールで生活しなさい」といってもそれは無理なこと。
子供が何を考えているのか、思考回路をよく理解し、大人の方から合わせる必要があるのです。
モンテッソーリの考え方②
子供には『自己教育力』が備わっている
モンテッソーリ教育では、
「子供は『自己教育プログラム』を持って生まれる。親に育てられるのではなく、自分で育つ。」
と考えます。
歩くこと・言葉を話すこと・母乳やミルクを飲むことは、確かに教えなくても自然にできますよね。
そこまでは温かく見守る親御さんが多いけれど、その後は叱ってしつけながら『大人が教える・育てる』というのが当たり前になっているのではないでしょうか?
もちろん社会のルールやマナーなどは教えなければいけないけれど、基本的に子供は『自分が持って生まれたプログラム』でいろいろなことを学んでいきます。
決して『大人のやり方・ペース・都合』で子供を育てようとしてはいけません。
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モンテッソーリの考え方③
子供の先生は親ではなく『自然』
モンテッソーリ教育では、
「子供は、自然から重大な課題とそれを実行する力をもらっている」
と考えます。
この『自然』とは野山のことではなく、生命力や環境といったこと。
自然の力は親の力よりもずっと強く、大人は『自然の力と子供とのやり取り』を邪魔してはいけません。
こう書くと、
「モンテッソーリ教育って精神論?何だか宗教みたい」
と思われるかもしれないけれど、実際はその逆で、マリア・モンテッソーリは医学博士。
『モンテッソーリ教育は、初めて子育てに科学を取り入れたメソッド』と言われていて、今で言うと脳科学や発達心理学に近い育児法ですよ。
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モンテッソーリ教育の実践
親は具体的にどうすればいいの?
それでは、モンテッソーリ教育を子育てに取り入れるのに、具体的に何をすればよいのかを見ていきましょう。
ここでは、モンテッソーリの教本にある『感覚教育・言語教育』などの手法ではなく、毎日の日常生活の中へのモンテッソーリの本質・考え方の取り入れ方をお伝えします。
繰り返しますが、高価な教具を買ったりモンテッソーリ園に入れるより、家での普段の親御さんの接し方が一番大切で、それだけでも十分大きなモンテッソーリ効果が期待できますよ♪
今すぐできるモンテッソーリ①
「自分でやりたい!」を大切にしよう
モンテッソーリ教育を取り入れる上で何が一番大切かと聞かれたら、迷わず『自発性』と答えます。
子供が自分ですることを自由に決める
→ 納得いくまで集中して繰り返しする
→ 満足したら自分のタイミングで終える
大人は子供がしたい事ができる環境を作り、子供が自分で終えるまで根気よく付き合う
このサイクルがとても大切で、これを繰り返すことで『自分』を作り上げていく、これが言わばモンテッソーリ教育の真髄です。
したいことと言っても、習い事やスポーツなどの大きな事だけではなく、たとえば日常の中のこんな些細なことの積み重ねが大切です。
乳児
- 石を拾う
- 水を触る
- 砂で遊ぶ
- 物(ビー玉・カード・おもちゃなど)を並べたり仕分けしたりする
- フタや扉を開けたり閉めたりする
- 紙を破る
- シールを貼る
- ティッシュを箱からひたすら出す
- 服や靴を自分で着たがる
- カバンの留め具・子供椅子のベルトなどを自分でしめたがる
幼児
- 道の線の上を歩く
- 高い所に上る
- 公園や町中であちこち触れてみる
- 大人の自転車のペダルを手でひたすら回す
- ごっこ遊びをする
- プリンセスやヒーローにハマる
- ハサミ・のり・テープなどを使う
- おもちゃを分解する
- 絵や文字をひたすら書く
- 料理を手伝いたがる
こういったことは、
「汚い・時間がない・もったいない・付き合うのが大変・無意味に思える」
という理由で、途中でやめさせてしまうことがありませんか?
特に3歳位を過ぎると、『しつけ』も兼ねて、自由にしたいことをし続けるのを『注意する・制限時間を付ける』ことが多くなりますよね。
でも、よほど危険なこと以外は、子供が自分で興味を持って始めたことはトコトンさせるべき。
大人には無意味に思えることでも、子供が夢中で何かに取り組んでいるとき『脳と心』は急ピッチで発達しています。
そして満足いくまで一定期間やりきると、必ず自分から卒業していく。
その達成感が子供に落ち着きを与え、自己肯定感や自立心につながっていくのです。
ハマるものは、ブロックやパズルや教具でなくても、上に書いた石拾いやキャラクターなりきりごっこなど何でも大丈夫。
(ただしテレビやDVDは受動的なので、あまり良くありません。)
要は『自ら何かにハマって、自分のペースで満足するまでやり切った快感』を脳に覚え込ませること。
そういう経験を重ねた子は、いずれ勉強・スポーツ・仕事・趣味に夢中になり、自分の世界を作り上げていきます。
そして楽しみながら成果をあげていけるようになります。
私事ですが、我が家の息子が4歳の時のこと。
レストランで少し離れた席の1歳くらいの男の子が大泣きしていたので、私が
「どうしたんだろうね?お腹が空いて早く食べたいのかな?」
と言ったら、息子に
「きっと何か自分でやりたいことがあったのに、お母さんかお父さんがやっちゃったから泣いてるんじゃない?」
と言われ、ハッとしました。
大人は赤ちゃんが泣いていたら「お腹が空いている・眠い・オムツが汚れている」と『大人がしてあげる・与える』ことばかり考えてしまうけれど、子供は「自分でやりたい!」と心で叫んで泣いているときもあるのだなと。
実際に息子は赤ちゃんのとき、自分でやりたいのに親がやってしまって、言葉で抗議できなくて泣いていたことがあるのを覚えているそうです。
大人は、
「自分でやったほうが早いし、大人が選んだほうが正しいし、子供が成長してきちんとできるようになれば自分でさせよう」
と思ってしまうけれど、それは間違い。
成長して何でも器用にできるようになった頃には、やってみたい衝動も薄れ、「面倒。こんなの意味が無い。」と、ラクをすることを考えるようになってしまいます。
乳幼児期特有の「自分でやりたい!トコトンやってみたい!」という強烈な自発的衝動を、決して逃さないようにしましょう。
今すぐできるモンテッソーリ②
子供がしていることを止めない・邪魔しない
では、子供が好きなことを見つけてハマっている時、親はどうしていればいいのでしょうか?
子供が何かしている時、親はどうすればいい?
- とめない
- せかさない
- 声をかけない
- できれば視界に入らない
- 間違っていても直接訂正しない
- 呼ばれたらすぐ行ける距離で見守る
要するに、
『子供の行動と思考を邪魔しない。でも放任はしない。』
ということです。
これは、言葉が話せる幼児でも、話せない赤ちゃんでも同じです。
意外に難しいのが、『間違っていても直接訂正をしない』ということ。
大人は良かれと思ってすぐに間違いを正したり、もっと効率よくできるようにアドバイスをしてしまいますよね。
「この並べ方だと入りきらないよ」
「少しずれてるから直してあげるね」
「ここを切ったほうがいいんじゃない?」
など。
子供は自分で間違いに気づき、自分で修正できたとき、脳も心も大きな喜びを感じます。
その喜びを大人の代行で奪ってはいけません。
子供には『失敗する権利』があります。
間違っていても訂正せず、自分で気づくまで根気よく待つか、気が付くように仕向けるだけにしましょう。
かと言って放任するのではなく、子供に呼ばれたらすぐ行ける距離で、愛情を持って見守りましょう。
と書きつつ、これ難しいんですよね(笑)
私も何度も失敗します。
なぜなら、大人には『知っていることを教えたい欲・サっと済ませて次に行きたい欲』があるから。
特に忙しい親御さんは、「〇時までにこれをやって、そのあと〇分で移動して…」と計画がありますよね。
でも、子供は絶対に親の計画通りには動きません(笑)
そして思いもよらないことに興味を持ち、時間をかけます。
そんな時でも子供をよく観察すると、キラキラ目を輝かせて、
「やった!できた!」
「あ~楽しかった、満足した」
と感じているので、
「あ、今1つ成長したんだな」
と、寛大な心で楽しむようにしたいですね。
今すぐできるモンテッソーリ③
集中できる環境を整えよう
モンテッソーリ教育では、子供がやりたいことを見つけて取り組むには、環境作りが大切だと考えます。
大掛かりなことは必要ないけれど、家の中をちょっと工夫して、子供が集中しやすいようにしましょう。
モンテッソーリに良い『家』の環境
- 子供が扱うものは子供サイズにする
- おもちゃより本物・美しいものを揃える
- 子供が自由に出して使える所に物を置く
- 置き場所や置き方をいつも同じにする(子供は秩序が好き)
- 物が多過ぎず、目移りしない
- 大人に邪魔されない場所に適切な広さのスペースを作る
- 子供専用のお道具箱を作る
(厚色紙・のり・ハサミ・空き瓶・ひも・ボウル・お玉・お豆・いろいろな形の錠前・洗濯ばさみ・手触りの違う布・木片など、年齢に応じて)
モンテッソーリに良い『心』の環境
- 騒がしくない
- 美しい言葉や音楽を聞かせる
- いつも愛されているという確かな安心感を与える
- 安定した雰囲気を作り出す
特に大切なのが、『秩序』と『自由に選んで遊べる環境』。
子供は秩序がとても大好きで、ママパパの食事の席やおもちゃの位置が変わっただけで泣いたり怒ったりすることが。
それはワガママではなく、乳幼児にとって『秩序』は自分が生きていく道しるべなのです。
秩序があると精神が安定し、それが知性や精神性の土台になっていきます。
秩序への執着は7歳以降徐々に薄れていくので、幼児のうちに「うちの子は神経質だ、融通が利かない」と心配する必要はありませんよ。
これも、しっかり満足すれば卒業するのです。
『自由に選んで遊べる環境』は、できれば手先を存分に使える道具が多いといいですね。
6歳までに手をたくさん使った子供は、生涯にわたって物事に集中して取り組める傾向があると言われています。
『集中』は「教育のどんな問題も解決する鍵」で、将来直面するであろう困難を乗り越えるのも、いかに集中して立ち向かえるかにかかっています。
実際、モンテッソーリの教具も手先を集中して使うものばかり。
特に『分ける・並べる・比べる』作業がたくさんできるように工夫すると、集中力がつくだけでなく、頭の中を整理する能力も伸びますよ。
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今すぐできるモンテッソーリ④
叱る前に子供をよく観察しよう
よく、「ほめて育てる?叱って育てる?」という議論になりますよね。
でも、モンテッソーリ教育に限らず、脳科学やコーチングの観点でみても、今は「ほめるか叱るか」という分け方はナンセンス。
『ほめるべきこと・ダメと伝えるべきこと・何も言わず見守ること』
を大人が知識として知った上で使い分けることが大切だという考えが主流です。
モンテッソーリ教育では、子供が大人の意に反することをしたとき、まずはよく『観察』します。
それが自立・発達をするための『自然からの課題』なのかどうか。
頭ごなしに「まったく、言うことを聞かないんだから!」とカッとなるのではなく、穏やかな心で愛を持って見ましょう。
また、冷静に科学性を持って見ることも大切。
子供は大人とは全く違うリズムや法則を持っているので、子供の思考回路を推測しながら、
「いま何を感じて、何をしようとしているのかな?」
をわかろうと努力します。
そう心がけると、もちろんしつけで「ダメ」と言わなければならないこともあるけれど、叱る回数が半分くらいに減るはず。
これは子供の為だけではなく、親御さんの為でもあります。
子供をよく観察すると、子供の能力に気づいたり、子供がいかに真剣に毎日を生きているかを感じ、子供が自分の所有物や付属物ではなく自分と同じ1人の人格なんだと認める気持ちが生まれます。
そうすると、子供に対してイライラすることも少なくなります。
もちろん言葉や力で支配しない分、子供とじっくり付き合う手間は増えるけれど、子育ての奥深さを楽しめるようになりますよ。
今すぐできるモンテッソーリ⑤
してほしいことは『してみせよう』
子供が自分から何かをしたがるのを待っても、
「うちの子はボーっとしていて何にもあまり興味を示さない」
ということもありますよね。
本当はそれでも子供は必ず何かを感じて考えているので問題ないのだけれど、
「こういう遊び(作業)をさせてみたいな」
ということがあるときは、言葉で「やってみなさい」と言うよりも、『大人が黙ってやってみせる』のが一番有効。
子供は大人のすることを見て真似したがりますよね。
大人が子供の視界に入り、黙ってゆっくりとやって見せると、子供は興味を持って自分でやりたがります。
この方法は、何かをさせたいときだけでなく、子供がうまくできない時にやり方のヒントを教えるときにもとても有効。
たとえば、ハサミやのりの使い方、折り紙、洋服のたたみ方、ひもの結び方、飲み物の注ぎ方など。
子供が難しくてつまづいている部分を分析して、黙ってゆっくりと繰り返しして見せます。
この時に、
「そうじゃないでしょ」
「できないなら貸して」
「そこが間違ってるからダメなんだよ!」
といったイライラした言葉がけをすると、子供は委縮して、挑戦したい気持ちは急速にしぼんでしまいます。
失敗してもやる気を無くさず何度もトライしたいと思えるように、子供の心の動きに合わせて根気よく付き合うのがポイント。
子供の行動の主人公はあくまで『子供』です。
決して大人のペースや考えに合わせることを強要してはいけませんよ。
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『隠れ毒親度』チェック表 ~できる親ほど注意!
今すぐできるモンテッソーリ⑥
集団遊びや、周りに合わせることを強要しない
モンテッソーリ教育では、1人で遊んだり作業したりすることが基本。
モンテッソーリの園でも、毎日自分がやることを自由に選択し、自分のペースで納得いくまで繰り返します。
もちろん集団で何かをすることもあるけれど、全員共通のカリキュラムで縛ることなく、1人1人の内面から自然に沸き出てくる興味や「やってみたい」という意欲が尊重されますよ。
そうしなければ、強制されない本当の意味での『自発性・集中力・知的好奇心』は身につかないと考えられています。
でも日本では、
『皆で揃って同じことができる・輪を乱さない』
ことが良しとされ、1人だけ自分のペースで好きなことをしていると、
「まったくマイペースなんだから。」
「ほら皆を見てごらん。あなただけこんなことしておかしいでしょ。」
と言ってしまうことが多いですよね。
そこが、日本でモンテッソーリ教育がいまいち広がらない理由、そして日本には技術家は多いけれど『起業家』や『発明家』が少ない理由かもしれません。
欧米に行ってみると、子供達はもっと自由です。
親は目が届く範囲でできる限り子供たちを自由にさせ、1人で遊ぶことも多い。
学校でも自由な発想で発言をし、人と違うことを考えついたり鋭い質問をしたりすると、大いに褒められます。
日本でもこれからの時代は『皆と同じ』ではダメ。
学校は残念ながらまだ古い考えのところが多いけれど、既に多くの企業(特に外資系や新しい会社)では、
- 集団ではなく個々のペースややり方に任せる
- 結果重視
- 何でもそつなくこなせるよりも専門性を求める
- 新しいものを生み出す発想力を持った人がほしい
というふうに変わってきていますよ。
今の子供たちが社会に出る頃には、もっとその傾向が強くなっているでしょう。
親はどうしても、
「皆と同じようにできる子になってほしい」
「あまり個性が目立ちすぎないでほしい」
と思ってしまうかもしれないけれど、どうかご自分の子供が
『個性が秀でたマイペースな子』
になることを恐れないでください。
先生方(特に小学校)も、「皆と違う」というだけで叱ったり、「従順で教えやすいクラスが良いクラス」という考えを変えて頂けることを心から願います。
まとめ ~モンテッソーリ教育とは? ずばり『大人は子供を支配しない!』
どんな親御さんも、子供の幸せを考えない方はいませんよね。
でも、良かれと思って注ぎ続ける『愛情』が、知らず知らずのうちに子供が持って生まれた『自己教育プログラム』を妨げてしまうことがあります。
人間の子供は話すのが遅く(もしくはまだ話せない)、動作が遅く、体が小さく、ご飯も与えられなければ食べられないので、大人はどうしても子供を『支配』してしまいがち。
それは悪意を持った支配ではなくても、
「自分が『いい子』に育ててあげなくちゃ」
「子供は大人の言うことを聞くのが当たり前」
そう思って子供に接するだけで、それは広い意味で子供を『支配してしまう』ことになります。
そして弱い立場である子供は、大人のどんな言葉や力にも従わざるを得ないのです。
親が存分に手をかけ、1から10まで大人の言う通りに育った子供は、確かに『聞き分けが良く従順ないい子』になるかもしれません。
でもそんな子に、大きくなってから
「何か自分で好きなこと(部活・趣味など)を見つけて打ち込んだら?」
「大変な時こそ、『よしやってやろう!』っていう強い気持ちはないの?!」
と言っても時すでに遅し。
何かに取り組んだり立ち向かったりする強い意欲や集中力は、幼児期にしか養えないのです。
モンテッソーリ教育は、何か技術を身につけさせる教育でも、能力を開発するメソッドでもありません。
子供が持って生まれた『強い生命力』を、子供が自分自身で思う存分に花ひらけるように、環境を整えて見守る。
ただそれだけのことです。
何度も言うけれど、
『子供の人生の主人公は子供自身』。
親が取って代わってしまわないように、日頃のちょっとした心がけでモンテッソーリ教育を取り入れて、子供の人生の第一歩をサポートしていきましょう。
参考文献
モンテッソーリ教育をもっと深く知りたい方には、こちらの本がおすすめです。
モンテッソーリ教育を家庭で行うもっと具体的な方法は、こちらの2冊がわかりやすいですよ。
モンテッソーリ教育に、ハーバード式教育法も加えて、マンガで楽しく読める本はこちら。
どれも、目からウロコの内容が盛りだくさんで、モンテッソーリ教育を取り入れたい方に本当におススメの本ばかりです。
ぜひ一度読んでみてくださいね。
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