子供部屋や、リビングの子供スペースを作るとき、親としては、
「片付けやすい」
「掃除しやすい」
「家のインテリアを崩さない」
というように、すっきりとしたスペース作りを考えるかもしれません。
ですがここでは、
「幼児期の子供の能力を伸ばす」
ことに焦点を当てた子供部屋作りを考えてみたいと思います。
幼児期の子供の能力を伸ばす部屋作りの一番大切なポイントは、『子供の好奇心を育てる』こと。
実際にどのような子供部屋を作ればいいのか、モンテッソーリ教育とチャイルドコーチングの指導者で1児の母でもある筆者がお伝えしていきます。
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子供部屋作りのポイントは自己肯定感!
幼児の好奇心ってこんなに大切!
まず、『子供の好奇心を育てる』ことが、なぜそんなに大切なのでしょうか?
まだまだ先の話ですが、中高生で部活を選ぶとき、大学や就職先を選ぶときに、
「自分からいろいろなものに興味を持って、挑戦できる人になってほしい」
そう思いませんか?
でも、幼児のうちはどうしても、
「あれこれ興味を持たせると、散らかるし汚れるし時間もかかって大変だから、もう少し自分でできるようになってからやらせよう」
「それは触らないで!汚れるからダメ、危ないからダメ、大人のだからダメ」
と行動や興味の範囲を制限してしまうことが多いですよね。
しかし、好奇心や挑戦心があって自分で考えて行動できる若者に育てたいと思ったら、幼児期に
「いろいろなことに興味を持っていいんだ」
「自分で選んで挑戦するって、楽しい!」
と、脳に刷り込んでおくことが大切なのです。
ヒトの脳の神経回路は、3歳までに80%、6歳までに90%ができあがると言われています。
つまり、6歳までに作り上げた『考え方のクセ』『ワクワク感やドキドキ感をどのくらい楽しめるか』という脳の傾向は、その後あまり変わることがないのです。
多少面倒でも、幼児期になるべく行動や興味の範囲を制限せずに、『ワクワクドキドキ』することをたくさん経験させて好奇心を伸ばしておくことが、子供の将来の自主行動力や集中力を育てていきますよ。
子供部屋の中でいろいろな世界を見せよう
でも、「いろいろなことに興味を持たせる」といっても、小さな子供の頭の中の世界はまだまだ狭いもの。
特に小学校に上がる前の幼児期の子供は、『家・園・近所の遊び場・テレビの中・習い事』くらいしか世界を知りません。
ですので親が、子供がまだ知らない世界を見せてあげる、興味が広がる道具を用意してあげることが大切。
もちろん、休日に旅行に行ったり、動物園・水族館・イベントなどに連れて行くのも効果的だけど、毎日を過ごす『家の中』もまた、子供の興味の範囲を広げるのに有効活用できますよ。
まず、子供部屋やリビングなど、子供の目につくところに、好奇心を育てるさまざまなジャンルのものを置いておきましょう。
たとえばこんなものがおススメ。
子供部屋に置きたい物
地球儀/図鑑/絵本/世界の写真集/飛行機などの模型/スポーツ競技のポスターやカレンダー/かるた/粘土/ブロック/パズル/様々な手触りの布/色とりどりの画用紙/お絵描きや工作の道具(子供専用のお道具箱)/マスキングテープ/ピアノや打楽器などの楽器/ミニキッチンセットなど
もちろん子供の年齢によって興味の対象も変わっていくので、それに応じて少しずつ内容を変えていくのが理想です。
中でも図鑑は、幼児期から子供の目に触れさせておくのが良いとよく言われますよね。
でも、「小学校に行ってもずっと使えるように」とあまり本格的なものを揃えても、幼児にとっては大きくて重いし、写真や字が細か過ぎます。
できれば、簡単な「自然の読み物」のようなものから始めて、年齢に合わせてステップアップしていくのがベストですよ。
そして、これらのものを子供部屋にただ並べるだけではなく、ぜひ「一緒に読もう!遊ぼう!」と誘ってみてください。
「これママ読みたかったんだ~!」
「きれいな写真、見てみて!」
「何か作ってみようかなぁ」
と何度か誘うと、楽しみ方がわかってきて、そのうち自分で選んで遊ぶようになります。
幼少期の行動のモチベーションは、ほとんどがお母さん・お父さんに由来するもの。
子供は前に親と一緒に遊んだものを目にするだけで、
「これママが読んでくれたなぁ」
「この工作、パパがほめてくれたなぁ」
と思い出して好きになっていきます。
その際に大切なことは、興味のジャンルを決して無理強いしないこと。
「せっかく買ったのに」
「今の年齢だとこれに興味を持つはずなのに全然見ない」
ということもあるでしょう。
でも、無理にさせようとしたり怒ったりすると、たとえばそれが工作なら、
『工作=イヤなもの・無理強いされるもの』
と脳の無意識の領域にインプットされてしまいます。
それでは興味を持つどころか逆効果に。
もし興味がなさそうな時は、時間をおいて(3か月~1年のスパンで)また試してみると、案外うまくいったりしますよ。
それほどじっくり興味を持って遊ばなくても、
『いろいろなジャンルの物が手の届くところにある』
という環境にいるだけで、充分脳に刺激を受けているので、急かさず焦らずゆっくり見守っていきましょう。
子供部屋には「子供が」遊びたいものを置こう
でも、そうして親が工夫していろいろな物を子供部屋に用意しても結局、
「うちの子はアンパンマンしか興味がない」
「仮面ライダー図鑑しか見ない」
「プリキュアごっこばっかり」…
ということもあると思います。
そんなときはどうすればよいのでしょうか?
結論から言うと、「そのままでいい」のです。
様々なことに興味を持たせるというのと矛盾していると感じるかもしれませんが、「好きなことにハマっている」ときは、脳内にドーパミンがたくさん出ていて、脳がどんどん発達している状態。
「言葉はまだほとんど話せないのにアンパンマンの仲間の名前だけは言える」
「恐竜が好きでカタカナを全部覚えた」
というのはよくあること。
大人からしたら難解でとても覚えられないヒーローやヒロインの名前や特徴、ポケモンの種類…
それを何十と記憶するって、すごいことですよね!
また、マスキングテープやリボン・色画用紙・シールなどで部屋や家具を飾り付けたりするのが好きな子もいます。
手先を器用に使って、30分でも1時間でも集中してやりますよ。
幼児期の集中力は『年齢+1分』と言われているので、それをはるかに超えて集中し続けるのは、「好きなことだから」こそなのです。
子供は、好きなこと・おもしろいことには理屈を超えた能力を発揮します。
そしてその経験は、脳の発達にとってとても大きなものになります。
たとえそれが親の理想の分野でなくても、たくさんほめて、できれば一緒にその世界を知って共感してあげましょう。
「褒められる・共感してもらえる」というのは、脳にさらによい影響を与えますよ。
そして、遊ぶ時間を100としたら、その中の10~20だけでいいので、そのハマっていること以外の分野の遊びに誘ってみましょう。
決して怒らず、
「こっちも楽しいよ!」
「お母さんこれで遊んじゃおっかな~」
とうまく誘ってみてくださいね。
子供がハマっているものは、いつか必ず卒業していきます。
親から見ると『飽きた』ように見えるかもしれませんが、子供の頭と心の発育から見ると『卒業』です。
一つのことにしっかりハマって、充分に満足いくまで遊びきって、卒業していく。
そしてまた次のことに興味を持っていく。
この過程がとても大切なのです。
(『卒業』してたくさんの本やグッズがいらなくなるのは親としては痛いですが ^^;)
いずれ年齢が上がるにつれ、その『ハマる』対象が、勉強になったりスポーツになったり音楽になったりして、そうして生涯打ち込める仕事や趣味が形成されていきます。
小さいころに、好きなことに没頭させてもらえなかった。
親が選んで与えるおもちゃでしか遊べなかった。
それで大きくなってから、
「この子は集中力がない」
「自分で好きなことを見つけて打ち込んでみたら?」
と言っても、それは難しいこと。
子供がハマるものが親の理想通りではなくても、幼少期はできるだけ子供の興味に付き合うようにしたほうが、長い目で見ると得策ですよ。
自分で選んだもので、自分のペースで納得いくまでしっかり遊びきることで、子供の『集中力』や『自己肯定感』はぐんぐん育っていくのです。
ですので、子供部屋には
- 子供が好きなもの
- 親が興味を持たせたいもの
の両方をバランスよく置き、何で遊ぶかは決して強要しないようにしましょう。
幼児の能力を育てるには、子供部屋は片付いていないほうがいい!?
そうしてたくさんの物で遊ばせていると、子供の物がどんどん増えていきます。
ついイライラしてすっきり片づけてしまいたくなりますよね。
確かに、物が少なくていつもキレイに片付いているほうが、スペースが広く使えるし、子供にも良いような気が。
しかし、脳科学者の茂木健一郎先生は、PRESIDENT Online(2017年8月)の中で、
「子供の脳にとっては、部屋は散らかっているほうがいい」
と述べています。
と思うかもしれませんが、実は、子供の脳にとっては「部屋は散らかっているほうがいい」のです。
(中略)
部屋の中のテーブルやいす、本棚、おもちゃ、いろんなものをたたいたり触ったり登ったりなめたりかじったり…
そういう体験を増やすことで、子供の脳はどんどん発達するのです。
部屋にはいろんなものがあって、子供が自由に触れる。
そんな環境こそ、アフォーダンスな環境なんです。
つまり子供が小さいうちは、あまりすっきりした子供部屋よりも、物が多くて子供が自由に触れられるものが多いほうが、脳によい刺激を与える、ということ。
もちろん、遊んだものを出しっ放しにしたり、足の踏み場もなくて危ないような部屋が良いというわけではありません。
すべて収納してすっきりさせてしまうよりも、子供の目に見えるところ、手で触れるところに、ある程度出しておいたほうがいいということです。
すっきりしたインテリアが好みの親御さんにとっては、少しつらいかもしれません。
でも、「今だけ」「子供の将来のため」と割り切って、お子さんと一緒にゴチャゴチャした子供部屋の空間を楽しんでみてくださいね。
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まとめ ~子供の能力を伸ばす子供部屋の作り方とは?
子供部屋や子供スペースを作る際には、
- 親が選んだもの(子供の興味を広げるもの)
- 子供が好きなもの
の両方をバランスよく配置することが大切。
そして、あまりスッキリ片付け過ぎてしまわないように気を付けましょう。
小さなスペースでも、子供にとっては夢が広がる自分だけの大切な世界。
幼少期に子供の好奇心を芽を摘まないよう、できるだけ伸び伸びと好きなように遊べるスペースにしていきたいですね♪
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