「子供の自己肯定感を育てる」
というと、何だか難しいことをしなくてはいけない気がしますよね。
でも、子供部屋にある工夫をするだけで簡単に子供の自己肯定感を育てられるのです。
ここでは、モンテッソーリ教育とチャイルドコーチングの指導者で1児の母でもある筆者が、『自己肯定感を高める』子供部屋作りについてお伝えしていきます。
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自己肯定感とは?
まずは、『自己肯定感』についてみていきましょう。
『自己肯定感』とは、平たく言うと、
「自分に満足している」
「自分は価値のある人間だと思う」
ということで、『自尊心』という言い方もしますね。
その心理の根底には、さらに
「自分は生まれてきてよかったの?」
「ここにいていいの?」
と、自分自身の存在を認められるかどうか、という深いところまで行き着きます。
2014年の内閣府の調査では、
「自分自身に満足している」
「自分には長所がある」
という項目で、日韓欧米7か国の中で日本の若者(13~29歳)が断トツで最下位、という結果が出ました。
特に「自分自身に満足している」では、他国がすべて70~80%台の中で、日本は45.8%というとても低い数字だったのです。
これには、自分をへりくだり、目立たないように謙虚にしている人を「あの人はいい人だ」「人格者だ」と評価する日本の国民性もありますよね。
家庭や学校での教育も、どうしてもそういった傾向になっていると思います。
でも、同じ調査で
- 「将来への希望」「40歳になったとき幸せになっている」 →最下位
- 「悲しい」「ゆううつ」「つまらない・やる気が出ない」 →断トツの1位
となってしまっているところをみると、このままではいけないのではないかと危機感を覚えませんか?
これから先、国際社会がもっともっと進み、日本にも外国人労働者が増えてきます。
AI開発も進んで単純労働が淘汰され、人に雇われるのではなく『経営する側の人間』『AIを使いこなせる人間』になっていかなければなりません。
そのために、『自己肯定感・自尊心・自分に自信を持つ』というのはとても大切なことなのです。
自己肯定感の強い子供は、困難なことでも
「自分ならできる」「やってみたい」
と前向きに挑戦することができますが、自己肯定感の弱い子供は、
「どうせ自分にはできない」「ダメなものは最初からやりたくない」
と思ってしまうのです。
そんな大きなテーマ、子供部屋作りとは関係がないのでは?と思われるかもしれませんが、実は家庭でのちょっとした工夫で、子供の「自己肯定感」というのは大きく変わってくるんですよ。
子供の写真を飾って自己肯定感を高めよう!
「自己肯定感」を高めるために、意外と簡単にどこのご家庭でもすぐにできる方法があります。
それは、
「部屋に子供の写真を飾る」
ということ。
小学校教師を長年務めた教育評論家の親野智可等さんが起ち上げた、『ほめ写プロジェクト』というのがあります。
外部リンクほめ写プロジェクト公式HP
親野さんによると、
「家に写真を飾っていない子供よりも、飾っている家庭の子供のほうが自己肯定感が高く、物事に意欲的に取り組む」
ということがわかったそうです。
そして、自己肯定感が低い子供でも、
「家に写真を飾り始めたら、自己肯定感が高くなった」
という実験結果も出たそうですよ。
特に、幼児期のまだ脳が完成していないうちに始めれば、効果はより大きく出るようです。
具体的にどんな写真かというと、
- 何かを一生懸命頑張っている写真(勉強・習い事・鉄棒・ブロック遊びなど)
- 何かをやり遂げた写真(自転車・縄跳び・工作など)
- お手伝いをしている写真(掃除・料理など)
- 兄弟に優しくしている写真
- 生まれたときに皆が喜んでいる写真
- 家族が笑顔でいる写真
など、子供が輝いている瞬間や、自分の存在意義を確認できる写真です。
これらの写真をカメラやスマホからプリントアウトして、子供部屋に限らず、リビング・廊下など子供の目につくところに飾ります。
子供はこれらの写真を見るたびに、
「自分って頑張っていて格好いいな」
「この時ほめられてうれしかったな」
「僕が生まれて皆嬉しかったんだな」
と思い、自己肯定感を強くしていくのです。
さらに言葉でも、
「このとき頑張ったよね」
「生まれてきてくれてありがとう」
と、ことあるごとに写真を見て伝えられればベストですね。
要するに、
『子供の写真を飾る=子供に愛情を伝える』
ということなのです。
日本人の自己肯定感の低さは、親から子供への愛情の伝え方が比較的淡泊なのが一因だとも言われています。
欧米では、毎日親子でたくさんのことを話し、事あるごとに「私はあなたを愛しているよ」と伝えます。
日本人特有の、
「言わなくても伝わっていると思う」
「多くを語るのは格好悪い」
「愛情を伝えるのは恥ずかしい」
という文化が、もしかしたら子供を寂しい気持ちにさせているのかもしれませんね。
言葉で愛情を伝えるのが難しいときは、ぜひたくさんの写真で愛情を伝えてみてくださいね。
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子供の作品やメダルも部屋に飾ろう
写真を飾るのと同じ理由で、子供の作品やメダルなどを部屋に飾るのもまた、自己肯定感を高めるよい方法です。
たとえば、
お絵描き/塗り絵/工作/運動会のメダル/賞状/達成表/全部埋まった出席表など
子供がこれらを目にするたびに、
「あの時頑張ったな」
「自分の頑張りを家族も認めて喜んでくれているんだな」
と思い出して再認識することができます。
ただし一つ注意したいことは、『1位になったこと』『成功したこと』ばかりを貼ったり褒めたりしないことです。
そうすると、
「1番にならないと認めてもらえないんだ」
と思ってしまい、『自己肯定感』は育ちません。
あくまで、
『がんばったこと』『努力したこと』
を中心に貼ったり褒めたりするようにしましょう。
言葉をかけるときにも、「すごいね!」ではなく「がんばったね!」と言ったほうが、子供は安心して、「また次も何か挑戦してみよう!」という意欲につながりますよ。
まとめ ~自己肯定感を高める子供部屋の作り方とは?
子供は、親が思うよりももっともっと認めてもらいたがっています。
親が想像するよりずっと不安で、自分に自信がありません。
上で述べた内閣府の調査でそのことが如実に表れていますよね。
親の愛情も、特に日本人は残念ながらあまり伝わっていないことが多いようです。
親からしてみれば、子供を愛していて大切に思っているなんて当たり前のことなのですが、きちんと表現しないと子供には伝わらないのです。
言葉で伝えるのが難しいときは、部屋に『写真』や『作品』などを飾ることで、子供に愛情を伝えてみましょう。
「生まれてきてよかった」
「自分は皆に愛されている」
その気持ちは大きな『自己肯定感』となり、物事に取り組む意欲や、新しいことに挑戦するチャレンジ精神につながっていきますよ。
勉強・部活・学校行事・受験・就職活動・・・
これからの人生に待ち受けているたくさんのものを、自ら「楽しい」「自分ならできる」と思って取り組むか、「面倒くさい」「どうせできない」と投げやりな気持ちで取り組むかによって、人生の幸福度はかなり違ってきます。
長い人生をできるだけ楽しく過ごせるように、子供の自己肯定感を伸ばす部屋作りをしていきましょう。
遅すぎるということはありませんので、何歳からでも思い立ったら始めていきたいですね。
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