『STEAM(スティーム)教育』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
プログラミング学習と比べると、『STEAM教育』はまだあまり馴染みがないかもしれません。
そこでここでは、幼児や小学生の教育を中心に、
STEAM教育とは何か?
プログラミング学習とは違うの?
ということを、チャイルドコーチングとモンテッソーリ教育の指導者で、1児の母でもある筆者がわかりやすく解説していきます。
>>幼児のSTEAM教育のメリットや弊害は?おすすめ通信教材はこちらから
STEAM教育ってなに?
STEAM教育とは、問題解決のための『アイディア』と『ものづくり』の教育
STEAM教育の『STEAM(スティーム)』とは、
Science(科学)
Technology(技術)
Engineering(工学)
Art(芸術・教養)
Mathematics(数学)
の5つの頭文字を合わせた造語。
もともとは『STEM(ステム)教育』という理数教育だったものに、『A』のデザインなどの創造性教育を加えて『STEAM教育』とした、1つの教育手法です。
文系理系や副教科の枠を超えて総合的に問題解決をし、目まぐるしい社会の変化に対応できる優秀な人材を育成するというのが目的。
キーワードは『ものづくり』。
ものづくりと言っても、言われたものをただ作っていくことではありません。
自ら新しい価値を生み出して、自分でシステムを作り上げていくこと。
わかりやすく言えば、
「スマホやゲームで遊ぶだけではなく、プログラミングできる人になろう」
「AIを使いこなし、さらに新たなテクノロジーを作り出せる人になろう」
ということです。
子供に必要なのは「何にでも疑問を持ち考える習慣」
世界の潮流から見て、STEAM教育がこれからの子供の教育の中心となることは間違いありません。
とは言っても、特に『STEAM教育』という教科やカリキュラムがあるわけではなく、幼少期からプログラム言語を覚えたり、難しい数式の勉強をするわけでもありませんよ。
すべての教科に共通して取り入れる、言わば『概念』や『手法』のようなもの。
では、子供たちは具体的に何を身につけていけばよいかというと、
STEAM教育で子供に必要なもの
- 何にでも疑問を持つ心
- ワクワクドキドキする知的好奇心
- 自分で考え、学び、理解していく力
- 筋道を立てて論理的に考え、問題を解決していく力
- 新しいものを生み出す創造力や表現力
まずは、
「疑問を持ち、解決したいという気持ちを持つこと」。
それがSTEAM教育の第一歩で、何より大切なことです。
学校だけではなく日常生活の中でも、子供の疑問の芽を潰さないようにし、ちょっとしたことでも子供に疑問を投げかけ考えさせることが大切です。
こういった力を幼少期から意識して育てていくことで、いずれは高度な技術を扱える、または新しい価値を創造できる人材に育てようという世界共通のプロジェクトが、『STEAM教育』です。
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プログラミング学習とは違うの?
では、よく聞く『プログラミング学習』と『STEAM教育』はどう違うのでしょうか?
結論から言うと、『プログラミング学習』は『STEAM教育』の一部。
プログラミング的思考は、先程のSTEAM教育で身につける力の中で言うと「筋道を立てて論理的に思考する力」に当てはまります。
STEAMの手法で、
疑問を持ち、
→ 解決方法を模索(創造)し、
→ それを実現するために「実際に動きの組み合わせを考えてプログラムを組んでいく」
その「」の部分がプログラミングです。
こう書くと、プログラミング=コーディング技術と思われるかもしれませんが、それだけではありません。
もちろん最終的にはコンピューターの仕組みを理解し、コードを組む技術も必要。
でもまずは、目的を実現するためにはどのような動きの組み合わせが必要か、どこを改善したらよいのか思考することから始めます。
そういう意味で、ものづくりや問題解決をしていくSTEAM教育の中で、プログラミング学習は「観察力・筋道を立てて考える論理的思考力」を養うものと言えます。
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STEAM教育はただの流行り?それとも本当に必要なもの?
「STEAM教育が大切とは言っても、どうせいずれ新しい教育法が出てきたら取って代わられる『流行り』みたいなものじゃないの?」
と思う方もいるかもしれませんね。
もちろん、100年200年先の世界がどうなっているかは誰にもわかりません。
でも、少なくとも今後20~30年は、STEAM教育で培われた力が世界中の様々な分野の技術を進歩させていくことは間違いないでしょう。
たとえデジタル化やAI化の潮流が変わっても、STEAMはすべてに通じる考え方なので、教育手法が改善されたり新しい内容が付加されたりすることはあっても、根本的には変わらないと思われます。
例えば、100年以上前にイタリアの医学博士が考案した『モンテッソーリ教育』。
時代に合わせて多少手法は変わったけれど、「子供が自発的に思考や活動をして成長していくのを、大人は止めずに見守る」という考え方は、まさに今の時代にこそ必要な子育ての概念。
100年経った現在の最新の教育法といわれる『STEAM教育』にも共通する、普遍的な考え方です。
これから子育てをする方、今子育て真っ最中の親御さんは、子育てに『STEAM教育』を取り入れておいて無駄になることはありませんよ。
海外ではSTEAM教育はもはや常識
各国のSTEAM教育の現状は?
では、海外では今STEAM教育はどのような位置付けになっているのでしょうか?
まずSTEAM教育が注目されたきっかけは、アメリカで2006年にブッシュ大統領が、2013年にオバマ大統領が、それぞれ国際競争力を上げるために『STEAM(STEM)教育』を国家戦略として発表したこと。
その後、世界各国で一気にSTEAM教育が導入されていきました。
特にアメリカでは、毎年数十億ドル(日本円で数千億円)の予算を投じるほど、STEAM教育を今後の国家の隆盛を左右するものとして重要視。
米商務省が「STEM教育を受けた人は受けていない人より高給が見込まれる」と発表し、各教育機関はこぞってSTEAM教育を取り入れています。
例えばアメリカの High Tech High という学校では、教科書を使わずにひたすら頭と手を動かして創造力を育んだり、プログラミングの技術を身につけたりするそうですよ。
アジア各国でも、
中国 | 民間企業が学校向けにカリキュラムを作り、9割以上の小中学校がSTEAM教育を取り入れている |
韓国 | 韓国科学創意財団が中心となり、10年以上前から小学校を中心にSTEAM教育を取り入れている |
シンガポール | 小学校低学年からSTEAM教育があり、科学・数学の分野で世界トップの学力を誇る |
インド | 6歳から科学技術教育のプロジェクトを取り入れている |
と、ここ10年ほどでかなり浸透し、STEAM教育を受けた子供達が既に社会に出て活躍し始めています。
また、STEAMのコンテストも世界中で盛んに開催されています。
例えば、韓国のサムソン電子が主催する "Solve for tomorrow"では、子供たちの開発アイディアを大人のアプリ製作者がサポート。
1,000万円の優勝賞金をこれまで手にしたのは、アメリカやヨーロッパなどの小学生から大学生のグループで、
『学生高齢者を結びつけて孤立問題を解決するWEBサイト』
『交通事故を未然に防ぐ技術』
『不法投棄を追跡するアプリ』
など、世界に共通する社会問題を解決するアイディアや技術を、子供や若者達が生み出しています。
海外のSTEAM教育の傾向
海外のSTEAM教育の特徴は2つ。
海外のSTEAM教育の特徴
- 導入までのスピードがとても速い
- 技術力をつける前に、まずは発想力や創造力を育むことを重視
STEAM教育の導入が速い国は、政府の方針転換が速いのと同時に、指導者(学校の先生)の考えも柔軟で、国全体が新しいことへの適応力がある傾向があります。
また、すぐに技術に走らず、まずは考える力や創造力を育む教育を重視しているのも海外の特徴。
幼児や小学生低学年では、まだコンピューターを使わないことも多く、身近なものでオリジナルのおもちゃを作るなど豊かな発想力を育てていきます。
そして中学生くらいになると、上のサムスン電子のコンテストのように社会問題(環境・高齢化社会など)を解決するアイディアを出し、形にする技術を学んでいくのです。
日本のSTEAM教育はかなり遅れている!
では、日本のSTEAM教育の現状はどうでしょうか?
実は日本でも2002年というかなり早い段階で、文部科学省が埼玉大学に『STEM教育研究センター』を設立し、日本の教育にSTEAMを取り入れる試みが続けられてきました。
現にいくつかのプロジェクトは成功していて、STEAM教育を受けられる機関も徐々に増えてきています。
でも問題なのは、それらが限られた場所で行われていること。
日本でもロボットコンテストや子供向けの科学技術コンテストが行われているけれど、「一部の頭の良い子供たちがやっている」というイメージがありませんか?
アメリカや中国では、ほとんどの子供たちが義務教育の中でSTEAM教育が受けられることを考えると、日本はかなり遅れていると言わざるを得ません。
STEAM教育が今後広く一般化するには、少しでも早くすべての小中学校の教育に組み込まれることが必要です。
でも、日本にはそれが難しい理由あります。
日本に新しい教育を取り入れるには時間がかかる
日本では、新しい教育を取り入れるのにとにかく時間がかかります。
たとえば英語。
「これからのグローバル時代には英語が必要」と言われて何年、いえ何十年が経つでしょうか?
2020年からようやく小学校の英語が必修化されたけれど、5~6年生で週2コマ、3~4年生で週1コマ。それで英語が話せるようになるとはとても思えないですよね。
ちなみに我が子が入学した小学校は1年生の英語が年間たったの8コマだと知り、愕然としました。
技術系の分野では、ようやく2020年に小学校のプログラミング学習の必修化、2021年に1人1台PC配布が実現。
日本の教育改革のプロセスは、次のような感じです。
文部科学省や経済産業省に海外の新しい教育情報が入る
↓
本当に必要かどうか議論する(ここだけで約2年)
↓
日本の教育現場に合うようにカリキュラムを組む
↓
まずは一部のモデル校で試す
↓
導入が決まったら混乱が無いように数年前に告知し、教員の教育を始める
↓
ようやく実現
あまりにも時間がかかりすぎて、実際に導入される頃には諸外国は既に次のステップに進んでいる、ということも少なくありません。
政府や省庁だけではなく、親や教員の意識改革も課題
とは言っても、新しい教育の導入に時間がかかるのは政府や省庁のせいだけではなく、日本の国民性の問題でもあります。
日本は何に関しても意識改革が進みにくい土壌があります。
親も教員もすぐに意識を変えるのは難しく、親は自分が昔受けて役に立った教育を子供にも受けさせたいと思い、教員は長年培ってきた指導法を簡単には手放せません。
代表的なのは、『計算と暗記』。
今、思考力や表現力が大切とこれだけ言われてきても、有名な計算塾は変わらず子供の習い事の上位にあり、計算の速い子が頭のいい子と言われます。
また、学校のテストや受験ではいまだに膨大な量の暗記が必要。
でも計算や暗記はいくらやっても、もう社会ではAIに取って代わられてしまうんですよね。
教育先進国のフィンランドやドイツでは、試験には計算機や辞書を持ち込んでいい学校が多いそうですよ。
試験勉強の大半を計算の練習や暗記に費やすより、その時間で思考力や創造力を鍛えましょうということだそうです。
指導者不足・英語の壁も
また、STEAM教育のできる指導者が少ないという理由も。
現に、2020年に導入されたプログラミング教育も、2021年に配られた1人1台のPCも、各学校ではまだうまく活用しきれていないのが現状です。
そしてSTEAM教育が盛んな国から指導者を受け入れようにも、英語という高い壁が。
英語教育がかなり進んでいる韓国や中国、もともと英語を話す人が多い東南アジアの国々から、その点でも日本は一歩遅れています。
指導者の問題のみならず、STEAMの国際コンテストに出たり海外と共同研究をしたりするには、英語が話せないとスタートラインにも立てません。
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まとめ 〜STEAM教育とは?これからどうすればいいの?
『STEAM教育』は、これからの世の中に欠かせない教科の枠組みを超えた『問題を解決するアイディアと技術力』を養う最先端の教育。
すでに世界各国の教育現場で導入が進んでいて、間違いなく日本にもその波は来ます。
でも日本には、STEAM教育がなかなか取り入れられにくい現状があり、このままでは確実に世界から、それも欧米だけでなくアジア諸国からも取り残されてしまいます。
学校へのSTEAM教育の全面的な取り入れを急ピッチで進める必要があるけれど、それを待っていては手遅れになるかも。
これからの世界を生き抜いていくためには、学校への導入を待たずに、各家庭の教育でできることを取り入れていくことが大切です。
また、まだ学校でやっていない分、個人でSTEAM教育を取り入れている子と取り入れていない子に大きな差がつくのも今。
目先の学校の成績や受験のことを考えると、計算や暗記もある程度は必要ですが、将来を長い目で見てこれからの社会に必ず必要になるSTEAM教育を、少しずつでも取り入れていきましょう!
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