幼児のうちから英語を学ばせたいという親御さん、多いですよね。
英語は始めるのが早ければ早いほど、その後の習得がグンと楽になることがわかっています。
でも一体どうやって学べばよいのでしょうか?
「文字や数字は日常の中で教えられるけれど、英語はどうやって教えたらよいのかわからない」
という声もよく聞かれます。
特に親御さんが英語があまり好きではない場合は、なんとなく避けて後回しにしてしまうこともありますよね。
今は小学校でも英語の授業が導入されてきているので、
「小学校で学べばいいか」
と思ってしまうかもしれませんが、幼児期の言語習得の『臨界期』(黄金期)を逃すのはもったいないですよ。
小学校英語教師・モンテッソーリ教育とチャイルドコーチングの指導者で1児の母でもある筆者が、幼児期から英語に触れていく方法をお伝えします。
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英語を丸ごと覚えてしまう幼児期の子供
まず、幼児期の子供はどのようにして英語をとらえるのでしょうか?
それは、「音」と「リズム」です。
英語も日本語も、子供は理屈ではなく『直感』で学んでいきます。
子供がテレビアニメやディズニー映画の歌の歌詞を、意味がわかる部分もわからない部分も全部丸覚えして歌っているのを聞いたことがありませんか?
我が家の息子も仮面ライダーやウルトラマンの主題歌を覚えて歌っていますが、日本語の部分も英語の部分もかなり間違えています。
「輝く未来に~」というところを「ががいくいらいぎ~」と自信満々に大熱唱しています(笑)
でも、仮面ライダーの『ライダー』の部分の発音が、"r"の発音も"er"の曖昧母音の発音も完璧です。
子供は言葉を『音』としてで丸覚えしてしまうのです。
これって簡単なようで、理屈で考えてしまう大人には難しいことですよね。
幼児期の子供と大人とでは、脳の使い方がまったく異なるのです。
英語も、大人は言葉の仕組みや文法を考えてしまいますが、10歳くらいまでの子供は理屈ではなく単語やフレーズを丸覚えするほうが得意なのです。
幼児の英語の習得は『真似』から。英語をたくさん聞かせよう。
幼児期の子供に英語を教えるには、とにかくたくさん聞かせることが大切です。
子供は、聞こえたものをそのままそっくり真似することが大得意です。
たとえば、日本語には母音が5つしかなく、すべての言葉は『あいうえお』の音から成っていますよね。(『ん』以外)
ですが、英語の母音は26個もあり、同じ"a"でも『アとエ』の間だったり、『アとオ』の間だったりと、単語によって発音が違うのです。
大人になってから英語を勉強すると、どうしてもすべての音を『アイウエオ』にあてはめて聞いたり話したりしてしまうので、なかなか日本英語(Japanese English)から抜け出せません。
幼児期から英語を聞いていると、頭の中で日本の発音に変換してしまうことなく、そのままそっくり覚えることができます。
また、『rとl』の発音の違い、『tやs』など単語の最後の子音なども、子供は自然と聞き分けることができますよ。
そもそも、日本語は150~1,500Hz、英語は2,000~12,000Hzと、使っている周波数帯が全く異なります。
日本人が英語が上達しにくいのは、この周波数の違いも原因にあるといわれています。
幼児期から英語を聞いていると、脳の中に言語の周波数帯を聞き取る回路が2つできるため、大人になってから英語を勉強するのとは効率が全然違うのです。
これらの細かい発音の違いや、周波数帯の違いを聞き分けられるのが、いわゆる『英語耳』というものです。
幼児のうちに英語を聞かせるだけでもある程度の『英語耳』を手に入れられるのなら、やらない理由はありませんよね。
ここからいろいろな幼児の英語の勉強法をお伝えしていきますが、
「どれも面倒!もう英語はさせなくていいや」
という親御さんも、とにかく
「1日15分、英語のCDをかけて聴かせる」
ということだけでもやってみてくださいね。
子供に英語の意味は教えなくてもいい?
よく、子供に英語を教える際に、
「子供は英語と日本語を結び付けて考えることはしないので、日本語訳は教えないほうがいい」
という話を聞きますよね。
本当に意味を教えずに英語だけを覚えさせたほうのが良いのでしょうか?
確かに、特に4歳までの子供は「英語は英語」として日本語に置き換えることなく理解するので、訳は教えないほうがいいと言われています。
でもそれは、『使われている場面が明確なとき』の話です。
日本語でも英語でも、子供は『場面と言葉』『ものと言葉』をくっつけて覚えていきます。
もちろん、意味の分からない状態でも、英語にまったく聞かないよりは聞かせたほうが耳は育ちます。
ですが、できればただCDをかけ流すよりも、絵本付のCDを親と一緒に見ながら聞いたり、DVDを見せるなど、子供がその英語を使う場面がわかるほうが、効果はありますよ。
また、4歳くらいになると、日本語の認識がかなりはっきりしてくるので、英語を教える際に
「りんごのことを英語で"apple"っていうのよ。」
「"Good morning"は、おはようっていう意味なのよ。」
というように、意味や訳を教えたほうが、子供も学習しやすいです。
「意味はわからなくていいから、とにかく聞きなさい、覚えなさい」
というのは、4歳以降の子供は逆にストレスになることもありますので、子供の様子を見ながら楽しく学べるようにしていきましょう。
幼児期の英語学習は『聞く・話す』が中心。
では『読み・書き』はいつから?
6歳までは読み書きはしないほうがいい
幼児期の子供は、聞いた英語をそのまま真似して、どんどん吸収していきます。
ですので、幼児の英語学習は『聞く・話す』といった『コミュニケーション』が中心となります。
でも、将来の英語学習や受験のことを考えると、
「早いうちから『読み書き』も学習しておいたほうがいいのでは?」
と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに日本語は3~5歳から、聞く・話すに加えて読み書きも始める子が多いですよね。
でもそれは、日本語は生まれてからずっとたくさん聞いたり話したりして、耳が先に育っているので、3~5歳で『読み書き』を始めても問題ないのです。
英語を『聞く・話す』を充分しないうちに『読み書き』も学んでしまうと、せっかくの『耳の黄金期』が、目から入ってくる視覚情報と頭で考える理屈によって邪魔されてしまう恐れがあります。
ですので、幼児期、せめて6歳までは『聞く・話す』のコミュニケーション学習を十分にしてから、読み書きに進むことをおすすめします。
もちろん、アルファベットの練習などは英語耳や英語脳の妨げにならないので、問題ありませんよ。
また、家で親御さんが英語で会話していたり、インターナショナルスクールに通うなどして、ネイティブに近い英語教育を受けているようなケースでしたら、早くから読み書きを教えても問題ありません。
英語の読み書きはいつから始めればいい?
では具体的に英語の読み書きはいつから始めればよいのでしょうか?
それは次のように言われています。
英語の『読み書き』を始める目安 | ||
アルファベットの読み書き | 6歳から(もっと早く始めても弊害はない) | |
単語の読み書き | 幼児期に『聞く・話す』をしている場合 | 6歳から |
幼児期に『聞く・話す』をしていない場合 | 『聞く・話す』学習を少なくとも1年間してから | |
文章の読み書き | 10歳から |
文章の読み書き、特に『英文を作って書く』ことについては、高度な言語処理能力が必要なので、小さい子供のうちから学習することはあまり推奨されません。
何でも早期教育が効果を上げるというわけではなく、それぞれの学習に適した時期があります。
ちなみに、2020年からの新学習指導要領では、英語の読み書きは小学5年生から指導することになっていますよ。
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幼児期の子供にローマ字は絶対に教えないで
幼児期の子供に英語を教える際に、1つ注意したいことがあります。
それは、
「絶対にローマ字読みを教えない。」
ということです。
たとえば『a』というアルファベットを見せて、
「これは『ア』と読むんだよ」
と教えてしまうと、どんな単語を見ても『a』は『ア』としか読めなくなります。
でも実際には、
- "father" の "a" は『アとオ』の間
- "apple" の "a" は『アとエ』の間
- "about" の "a" は『アとウ』の間(曖昧母音)
と、同じ"a"でも発音が異なります。
これをすべて『ア』と読んでしまうのが、いわゆる日本英語(Japanese English)で、一度『 a =ア』と覚えてしまうと、先入観でどうしても『ア』としか読めなくなってしまうのです。
「別に全部『ア』でもいいじゃない。」
と思うかもしれませんし、実際に教師でもすべて『ア』と発音してしまう方もいます。
でも、英語圏の国の人にとっては、これらまったく違う音で、この『日本英語』が日本人が英語のヒアリングに苦戦する大きな原因となっていると言われています。
ですので、大人になると便利なことも多いローマ字読みも、せっかく英語耳を育てられる幼児の大切な時期には絶対に教えないほうがいいです。
英語の絵本を子供と一緒に見るときは、単語をまるごと1つの固まりとして読んで聞かせ、決して
「『a=ア』『i=イ』『u=ウ』と読むんだよ」
とは教えないようにしましょう。
パソコンのローマ字打ちに注意
気を付けなくてはならないのが、パソコンのローマ字打ちです。
今や小学校でもタブレットを使い、高校大学になると、宿題や論文をWEBで提出する時代ですよね。
プログラミング学習も始まりますし、小さいうちからパソコンのローマ字入力に慣れておいたほうが、後々確かに楽ではあります。
ただし、幼児期からローマ字打ちを教えてしまうと、やはり英語の読み方もどうしてもローマ字読みになってしまいます。
繰り返しになりますが、一度アルファベットをローマ字読みで覚えてしまうと、すべてが『アイウエオ』読みになってしまい、まっさらな状態には戻れません。
ですので、パソコンのローマ字打ちは、早くても脳の90%ができあがる6歳以降、できれば小学校中学年以降にして、それまではひらがな打ちをさせることをおすすめします。
それからでも十分に英字で遜色なくブラインドタッチもできるようになりますよ。
幼児の英語の学習方法
~ネイティブの発音で英語耳を作ろう
脳の発達段階にある子供が、『英語耳』や『英語脳』を手に入れるためには、
「ネイティブの英語をたくさん聞くこと」
が大切です。
その方法と、それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。
幼児の英語学習方法 その1
『DVD・CDで学ぶ』
まず、一番手軽に英語を始められるのが、DVDやCDですよね。
特にDVDは、意味や使う場面を理解しながら観ることができるので、学習効果は大きいです。
幼児向けの英語の定期通信教材もありますし、Amazonなどで教材を購入することもできます。
また、わざわざ教材を購入しなくても、テレビで子供が好きな外国のアニメや映画を録画しておいて、副音声にして英語で見せるのもおススメですよ。
(『ディズニー映画』『機関車トーマス』『おさるのジョージ』など)
ただし、4歳くらいになると英語のDVDを拒否し始めることがあります。
日本語の理解が慣熟してくると、意味の分からない英語で見るのがストレスになってくるようです。
その際は、CDを活用するといいですよ。
朝起きた時、食事の時などに、CDをかけ流すだけなら、子供もそんなに抵抗を示しません。
またCDは、意味や場面がわからない反面、歌が多いので、英語のリズムが身に付きやすいメリットもありますよ。
このように、DVDやCDは手軽に英語を始められる便利なものです。
でもその反面、『聞く』こと(インプット)が中心になってしまい、『話す』こと(アウトプット)がおろそかになってしまいがちです。
聞くだけでももちろん効果はあるのですが、親も一緒にDVDやCDのフレーズを覚えて、子供と一緒に話してみる・歌ってみる、などの工夫をすることをおすすめします。
DVD・CDでの英語学習 | |
料金 | 1,500円位~ |
メリット | ・家で手軽に始められる。 ・料金が安い。 ・親も一緒に学べる。 ・子供の好きなものを題材にして学べる。 ・歌がたくさん出てくるので、英語のリズムが身につく。 |
デメリット | ・『聞く』(インプット)だけになりがち。 ・4歳を過ぎると、英語のDVDを嫌がることも。 |
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家族一緒に楽しめるディズニー。キャラクター達のジェスチャーが大きいので、聞こえる英語と結び付けやすいのがメリットです。
幼児の英語学習方法 その2
『英語教室に通う』
次に、『英語教室に通う』という方法があります。
英語教室は、子供専門の教室と、大人も通う英会話教室の子供コースとがあります。
どちらの場合も、できれば日本人よりもネイティブ外国人講師のレッスンを選びたいですね。
ですが、お子さんが外国人のレッスンを嫌がる場合には、まずは日本人講師のレッスンから始めてみるのもありですよ。
集団レッスンを行う教室もあれば、個人レッスンをしてくれる教室もあり、それによって料金も大きく異なります。
通いの英語教室のメリットは、直接ネイティブの英語に触れることができることと、常に双方向コミュニケーションができることです。
その反面、『聞く』量はそんなに多くないので、週1回のレッスンでは英語耳は育ちにくいでしょう。
家でのDVDやCDでの学習も併用するといいですよ。
英語教室に通う | |
料金 | 月6,500円位~(月4回・ネイティブ講師の場合) |
メリット | ・外国人に慣れる。 ・直接会って話すことで、細かい口の動きや発音の仕方を真似ることができる。 ・『聞く・話す』を両方一度に学べる。 |
デメリット | ・料金が高い。 ・通うのが大変。 ・週1回のレッスンでは英語を聞く量が少なすぎて、英語耳は育ちにくい。 |
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教師の採用基準が厳しいことで知られるシェーン。無料お試しレッスンも随時開催されていますよ♪
幼児の英語学習方法 その3
『オンライン英会話で学ぶ』
数年前から、英会話のレッスンをオンラインで行う教室が出てきました。
その手軽さからどんどん人気が上がり、今では数もかなり増えて料金も安くなってきています。
スカイプや専用アプリを通して、お互いのカメラを使って1回20~30分程のレッスンを行います。
講師は日本にいるわけではなく、自国の教室や自宅の部屋などからリモートレッスンをしています。
PCだけではなく、スマホやタブレットでも受講できますよ。(できれば大きい画面を推奨します)
大人コースには通常テキストはありませんが、子供コースには絵本のようなテキストを用意してくれているところもあります。(別途購入が必要)
教室に通う手間がなく、家でいつでも好きな時に受講できる、毎日受講しても料金が安いというメリットがあります。
逆にデメリットは、実際に外国人と会って話すような臨場感はないというところです。
オンライン英会話で学ぶ | |
料金 | 月3,000円位~(1日1回・または回数無制限) |
メリット | ・教室に通う手間がない。 ・いつでも好きな時にレッスンを受けられる。 ・毎日レッスンしても料金が格安。 ・講師の国籍を選べる。 ・気に入った講師を指名できる。 |
デメリット | ・通いの教室ほど「外国人と接している」という臨場感はない。 ・南米やアジア人講師が多く、ネイティブ講師は別料金の場合が多い。 ・スマホだと画面が小さく子供は学びづらいので、PCかタブレットがあったほうがいい。 |
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Z会とレアジョブが共同運営するリップルキッズパーク。子供専門の講師陣とコスパの高さが定評です。
幼児の英語学習 まとめ
~無理強いしない・細く長く続けることを目標にしよう
「将来困らないように、英語を何とか小さいうちに身につけさせてあげたい」
と思いますよね。
でも、あまり無理に学習を始めさせて、英語が嫌いになってしまっては逆効果です。
幼児の頃に「苦手・嫌い」と脳に刷り込まれてしまったものは、大きくなってからもなかなか好きにはなれません。
できるだけ楽しく英語に触れられるように、子供の様子を見ながらあれこれと手をかえて工夫していきましょう。
子供も大人も一緒ですが、言語を習得するには、一度にたくさんのことを詰め込んで短期間で成果を求めるやり方は向いていません。
長期間かけて毎日少しずつでも英語に触れていくことで、徐々に体にしみ込んでいきます。
細く長く、親も一緒に学ぶつもりで、英語を楽しんでいきましょう!
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